Cosmic Eternity



ビッグワンの最後部車両のデッキに佇み、俺は眼下の星の海を見下ろしていた。
軌道チューブの中を吹く風に、髪の毛がたなびく。
空間軌道リングが俺の横を音もなく通り過ぎ、そのまま彼方へと消えていく。
ビッグワンが吐き出す白い煙も、俺の視線の先で薄くなって消えていく。
そんな光景を、俺はじっと見つめていた。
背後で、ドアの開く音がした。俺に振り向く間を与えず、彼は俺の横に並んできた。
「…何してんだ? 学。」
「ブルース…。」
彼は、少しだけ眉間に皺を寄せながら、俺の顔を怪訝そうに眺めている。そんなブルースから視線を外し、俺は再び星の海を見つめた。
「いえ、ただ…、きれいだな、って…。」
それに釣られてか、ブルースも眼前の宇宙に目を向ける。そして、一言呟いた。
「…そうだな。」
目の前に広がる広大な空間には、数え切れないほどの星たちが瞬いている。
子供のころは、地面の上からしか見られなかった星が、今、手を伸ばせば届きそうなほど近くにある。
「…俺、ビッグワンに乗り始めた時に、思ったんです。この星たちを、この宇宙を、ずっと守り続けていきたいって。」
そこで言葉を切り、俺は視線を足元に落とした。
「まだまだ、バルジ隊長や父さんには追いつけないですけど、でも、いつかきっと…。」
と、そこまで言ったところで、ブルースが苦笑を漏らした。
「…何を殊勝なこと言ってやがる。」
「ええっ…!?」
ブルースの、あまりにといえばあまりな物言いに、思わず声を荒げる
「そんなこと言わなくてもいいじゃないですか!」
憮然として、俺はブルースの顔を見上げ…、戸惑った。
俺を見つめるブルースの目が、優しく笑っていたからだ。
「ま、思うことは悪いことじゃねえからな。」
頭をぽんぽんと撫でられる。また子ども扱いかなぁ…。
次の瞬間、俺はブルースに唇を奪われた。
「んっ…。」
腰に回したブルースの手が、ぐっと俺を抱き寄せる。五秒くらいの口付けの後、唇を離しただけの至近距離で、彼は囁いた。
「その言葉、忘れんなよ。」
「…はいっ!」
ビッグワンの汽笛が鳴る。それを合図に、俺たちは再び口付けを交わした。



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