虹
昨夜から降り続いていた雨が、やっと止んだ。
「やれやれ…、やっと止みやがったか…。」
傘を閉じながら、ブルースがぼやく。俺も傘を閉じ、薄い雲が広がる空を見上げた。
「明日は、晴れるそうですよ。」
「そうか…。こう毎日雨じゃ、溜まったもんじゃねぇからな。」
傘についた水気を切り、ブルースは少しげんなりしていた。
空の上は風が出ているらしい。さっきまで雨を降らせていた雲を、風が少しずつ運んでいく。
そして、雲の切れ間から陽の光が地上に差した瞬間、俺は空にすごい物を見た。
「あっ! ブルース! 虹ですよ!」
「本当だ…!」
ディスティニー駅の近くにある公園から見える景色に、思わず目を見張るほど美しい虹が出ていた。
キレイな半円を描いており、道行く人が皆足を止めて見入っている。俺とブルースも、少しの間、空に広がる幻想的な光景を眺めていた。
「ブルース、知ってますか? 虹の根元には、幸せがあるそうですよ。」
「…聞いたことはあるな。」
でも、今、俺の隣にブルースがいる。この幸せには、到底敵わないだろう。
陽の光を受けて、彼の髪が輝きを増した。ブルースの横顔を見つめながら、俺は心からそう感じた。
「…何見てんだ、学。」
「あ、いえ、別に…。」
ブルースに見とれてたなんて言ったら、後で何を言われるかわからない。俺は話をはぐらかす事にした。
「…ったく、そろそろ行くぞ。」
「あ、はい!」
先に歩き始めたブルースの後を追って、俺も歩き始めた。
こんな日が、いつまでも続くといいのに…。
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