あなたに捧げる詩



SDF本部を望む、小高い丘。ここに、俺が愛した人が眠る墓がある。
その人の名を記した墓標の前に、俺は立っていた。
「また来たよ、ブルース。」
俺は持っていた花束と、生前彼が好きだったイチゴオーレを墓前に供えた。
「ブルース、俺が遺品としてもらった、ブルースハープがあるだろ。あれ、結構練習したんだ。今日はさ、ブルースに、聴いてもらいたいと思って…。」
俺は懐からブルースハープを取り出す。元々彼の持ち物だったのを、俺が引き継いで持っている。そっと口に当てると、最初の一小節を吹きだした。
たくさん練習した、あの切ないメロディー。丘を渡る風に乗り、彼の元へ流れていってほしい。彼に捧げる曲を、俺は目を閉じて一生懸命に吹いた。
最後の小節を吹ききると、俺はゆっくり目を開けた。
「…どうだった? まだまだ、ブルースみたいに上手くはないけど、結構上達しただろ…? ブルースに聴いてほしくて、頑張ったんだ…。」
俺は耐え切れず、その場に座り込んだ。
「…ここで吹けば…、聴こえるだろ、ブルースっ……!」
言葉の最後が嗚咽に変わる。俺を優しく包んでくれた温もり、冷たいような口調の中にもはっきり見て取れる愛情を、俺は少しも忘れていない…!

頬を流れる涙を手で拭い、俺は立ち上がった。
「…また、来るよ。いつまでも泣いてたら、また怒られそうだから。…それじゃ。」
そう、彼は今も、俺の心の中で生きてる。一緒にいてくれている。
風に髪をなびかせ、彼が旅立って行った空を見上げる。俺はそこにはっきりと、ブルースの笑顔を見た。胸の奥が痛む。彼の笑顔をしっかりと心に刻み、俺は前を向いた。

歩き続けよう。彼との思い出がある限り、俺は挫けることはないのだから。



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